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13日6時にくださった方、ありがとうございました。
もしよろしければ、駄文でもどうぞ。
「なぁ・・・エル・・・・・・?
もっかい会えたら・・・聞きたいことがいくつもあるんだ
多分、これからもうちょい増えるからさ・・・・・・」
緩やかに形を成した水滴が岩壁を渡る。
洞穴の外は手元さえぼやけるほどの濃霧だ。
青年の呟きも、かすかに響いて吸い込まれていく。
「・・・もう・・・・・・・いいかな―――・・」
”無限の悲しみ”
「だめだね」
人に聞かせるための声は霧散せずに聞き手の耳をついた。
「もうちょい反省してろ」
「葵蓮」
「よっ」
植物の茎で編まれた草履で地面を擦りながら、背の高い青年が暗闇から現れる。
「野歩きに不向きな陽気んときばっか、くんのな」
「そういうときの方が仕事もやる気も出てこないからな」
「ついでに軽い鍛錬になっていいだろ?」
悪戯げに笑うその真意はどこにあるのか。
出逢ったときから、望むところはわからなかった。
『あんたが銀色を消した王サマ?』
その、久々に聞いた人声に振り向いたのはいつのことだったか、
月日の数え方も大雑把にしか覚えていない。
「鍛錬、ね」
金の髪の青年が苦笑する。
「俺に釘でも刺しに来たか?
わざわざ来なくても、今更何をしようとも思わねぇって」
「霧の日は」
言って、葵蓮は岩肌の結露に手を添えた。
「”夢”も目の前に現れやすいだろ」
そうして、告げる。
長きに渡る、物語に連なるピースとなるひとことを。
二つの世界に繋がる青年は、口の端をあげ、笑んで紡いだ。
「銀色が、見つかったってよ」
歯車は、廻り始める。