日々時々 一瞬刹那 月日もまた旅人なれば。
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拍手御礼
27日7時にくださった方、ありがとうございました。
営業を終えた、客船のホールレストラン。
モップをもった少年と、モップにもたれる少年が、その場にいた。
「災難だったな、お疲れ」
茶色の髪の少年が掃除を再開しながら、笑いを押し殺しながら言う。
「災難…なのかな…知らないけど…うぇぁ゛ー……疲れたぁ……」
気の抜けたような声を出し、少年はモップを引きずり歩く。
疲れたといいながらもごみ集めはなんとかするらしい。
「休んでりゃいいのに。
その代わり明日世良一人でやらせっから」
「それはいやだー」
だろうな、と翔は笑う。
「にしても…なんだろなー…あの人」
「フィルさん?」
「名前しってんだ?」
翔がきょとっと振りかえると、別の声がそれに答えた。
「今日に始まったことじゃないからな、それ」
エルナトさん、と反応して銀の髪を纏めた少年は立ち止まる。
「そうなんすか?」
翔が短く聞き返した。
エルナトはエプロンを外して適当に畳みながそれに応じる。
「多分一個前の港で乗ってきた奴……もとい、客。
世良にぞっこんらしいな」
「おかげで3回連続、上がったら最後…
指名続きで舞台降ろしてもらえないんですけどね…」
「うわ、きつそ」
言って笑う翔を、世良はすこし睨めつける。
舞台にあがらない彼にとっては所詮他人事だ。
「ま、かといってさすがにこのままじゃそのうちへばるな。
俺と代わるか?」
一応、対策をたててくれるだけの優しさはあったらしい。
けれど。
「ホールにいたらいたで引っ張りだこだぞ…一テーブルに」
「やっぱり、そうです……よね」
エルナトが苦笑いを浮かべ、世良は乾いた笑いを床に向ける。
相当の強者であるらしい。
「てなわけで、隠れるか。な。」
な、というところでぽんと少年の肩を叩くエルナトの顔を、世良が見返す。
「はい?」
「ジルんとことリデルんとこ、どっちがいい?」
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