日々時々 一瞬刹那 月日もまた旅人なれば。
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最近は暗くなりきらない空がよく残ってるように思います。
月もどこかへ行ったようで。
さてさて。
月もどこかへ行ったようで。
さてさて。
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去り往くこのとき 遺せるものは
ほんのひとひら
夢のひとかけ
過ぎ行くこのとき 残せるものは
ほんのひとひら
星のひとかけ
風も身の音を静めたようだった。
木の葉は、わずかな風を捉えて戯れる。
沈黙が、徐々に騒がしくなってくる。
------------------ razza -----
「変な人ですね、お姉さん」
変な少年は首を傾げてそういった。
やっと、言った。
それが疑問を表すのか、ただこちらを良く見たかったのかはわからない。
返答の言葉はなんだか出てこなかった。
「いや、失礼」
その間に彼が、言葉を翻した。
「変な、といっては語弊がありますね」
そう言って、一拍。
本人としてはちょいと顔の向きを変えただけの動きだろう。
しかしこちらからは、奇妙な狐面の誇張を受けて
結構な方向転換をしたようにも見えてしまう。
「あぁ、そう」
やっと、ふさわしい言葉を見つけたらしい。
声が少し嬉しげではあるが、その表情は狐の細目で読み取れない。
「変わった、お姉さんですね。
こんな奥の神社にまで、お守りを買いにでもいらしたんですか?」
まさかありえないだろうと言葉の面で言っている。
けれども、不本意ながら。
残念ながら、図星、なのである。
だから、こう答えるしかない。
「そうなのよ」
「お守りを買いに来たの。
こんな奥の神社で売ってるっていうお守りがとっても効くって聞いたから」
そう、嘘偽りないただの事実。
なのに、少年には黙られた。
わざと戻ってきた風に面の紐を遊ばせるように
顔を横向きに向けて、しかし何を窺っているのかはわからない。
「噂と一緒に聞きませんでしたか?」
やっとのことで、そういった。
少しかき消されそうな声を拾った。
「え?」
内容は取れたが、意味がわからなかった。
ほんのすこしだけ、周りの温度が下がった気がする。
ふっと暗くなったことに気付いて、顔を真上に向けると
ちょうど雲が太陽を隠した。
「ここでお守りは売っていないって」
「聞きませんでした?」
狐面を少しずらす。
少年は口の端を上げてそう言った。