言己(コトコ)トコトコ

　　　何も持ってないぼくが　一生続けられること
　　　ただこののどが　このくちが
　　　こころがなくなってなければ
　　　何も持ってないぼくが　一生続けられること
　　　おひさまのしたで
　　　つきよのばんにも
　　　何も持ってないぼくが　それでも続けられること

　　　じぶんだなんて　さがさなくたって
　　　たしかにここにぼくはいる
　　　うたがいうたがいうたがったって
　　　疑いようのない事実
　　　そんざいだなんて　さがさなくたって
　　　ぞんざいにだって　ここにいる
　　　胡蝶の夢であったとしても
　　　たとえ気付いて消えたとしたなら
　　　消えたと自覚するぼくは
　　　そんざいするわけないんだから

　　　このせかいがすき
　　　このけしきがすき
　　　映す一瞬一時が
　　　かけがえのないほどに愛おしいと
　　　そんなふうに思える瞬間
　　　このかぜがすき
　　　このひざしがすき
　　　感ず一瞬一時が
　　　かけがえのないほどに愛おしいと
　　　そんなふうに思える刹那


　　　ことことことば
　　　メロディなくても調子に乗るの
　　　ことことことば
　　　かたかたかたかたおいてくの

　　　ことことことことことばつむぐの
　　　つらつらつらつらつなげるの


　　　なにがかわった
　　　なにもかわらぬ
　　　ぞんざいながらいるそんざい
　　　なにももたないこのぼくが
　　　ゆいいつ、つづけられること

　　　ゆいいつ、きみにあげられるもの。


　　　

浅き夢見じ酔いもせず

未だ枯れぬ みずたまり
そこにあってはまた見えなくなる

或いは消滅
或いは忘却
　或いは流転という具合

掬いあげるは幾滴か
以、伝えるは幾滴か

あとは
　ただただ
巡り来るを待つばかり

彩華

　　　あめつち 眺め
　　　そらうみ 見つめ
　　　にちげつ 仰ぎ

　　　やがて

　　　天地をわすれ
　　　空海をよごし
　　　日月さえぎり


　　　まっくらやみしか
　　　逢えぬせかいで
　　　ぽつり 光の存在を

　　　失くしたものを
　　　思い想う